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【ETV特集 見逃し配信は明日までです】


ETV特集、「片づけその先に」はNHKONEで明日土曜日夜9時55分ごろまでにご覧いただくと最後までご視聴いただけます。

ぜひ多くの方に、片づけの先にあるご家族の笑顔をご覧いただき暮らしを

整えるモチベーションにしていただけたら嬉しいです。

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夏休みに入り、子ども部屋や学用品、

おもちゃ、本の片づけに取り組んでいるご家庭も多くなりました。

時間に少し余裕のある夏休みは、

子どものものを見直す、とてもよい機会ですね。

ただ、子どものものを片づけるときに、ひとつ大切にしてほしいことがあります。

それは、親の判断だけで残すものや手放すものを決めず、子ども自身に選ばせてあげることです。

昨年の夏、中学3年生の男の子の片づけをお手伝いしたときのことです。
スクリーンショット 2026-07-31 19.01.11

彼は、自分の部屋にある参考書や教材を見ながら、こう言いました。

「俺、この参考書いらんねん! お母さんが勝手に買ってきてん!」 


「この教材も使わへんねん! 俺はいらんけど、お母さんが置いとけって言うねん」


「1年、2年のときの塾の教材も、俺はいらんねん!」

そこで私が、

「自分のことは、自分で決めたらいいねんよ。責任を取るのも自分やもんね」

と言うと、彼はお母さんのほうへ「

それ見たことか!」というような視線を送りました。


強い味方ができたと思ったのでしょうね。
そこからは、自分で判断しながら、どんどん手放していきました。

ところがお母さんは、

「大丈夫なん? そんなに捨てて!」
「それ、いるやつやん!」

と言いながら、ゴミ袋の中を確認し始めました。すると息子くんも、

「もう出ていってや!」

と怒り、親子げんかになってしまう始末。

そこで私は、お母さんには、ご自身の管理しているキッチンのパントリーの片づけをお願いし、

「彼のものは、彼の判断に任せてみましょう」とお伝えしました。

彼と二人になったとき、私はこう言いました。

「でも、お母さんが良かれと思って、君のために買ってきてくれた参考書やから、そこは感謝やなあ」

すると彼は、素直に、

「うん。そう思う」

と言ったんです。

片づけながら、進路や家族のこと、いろんな話をしている中で、

「お母さん、めっちゃ友達多いねん。すぐ友達になるし、そういうとこすごいなって思うわ」とお母さんの話をしてくれたんですよ。

「〇〇君、それお母さんに言うたって~。お母さん喜ぶわ〜」と私。

不器用やけど、ちゃんと母の愛が分かっているんですよね。

お母さんが自分のためを思ってくれていることも、その奥に愛情があることも。
ただ、その愛情の向け方が、少しだけ彼の望んでいる方向とは違っていたのだと思います。

監視したり、押しつけたりするのではなく、温かいご飯を用意して、学習のことは口に出しすぎず、信じて見守る。

そのほうが、子どもの力になることもあるんですよね。


子育てが終わった私たち世代は口を揃えて言います。

「偏差値よりも、生きる力をつけさせてあげるのが大事やね」って。

片づけにおいて、親にとっての「必要」と、子どもにとっての「大切」は、必ずしも同じではありません。

彼の部屋には、親御さんがそろえた百科事典や図鑑、学習教材、良書がずらりと並んでいました。

もしかすると親御さんご自身が、

「家に本があったから自然に読んだ」

「百科事典を眺めたことが、学びにつながった」という経験をお持ちで、わが子にも同じ環境を用意してあげたいと思われたのかもしれません。

子どもの可能性を広げたい。

たくさんの知識に触れてほしい。

将来、困らないようにしてあげたい。

どれも、子どもを思う親心ですよね。

そのお気持ちは、とてもよく分かります。

けれど、その思いが大きくなりすぎると、いつの間にか、家の収納に収まりきらないほど本や教材が増えてしまうことがあります。

それはもう子どもの枠ではなく、親の枠なのに、知らず知らずのうちに、その責任を子どもに負わせてしまっている。

子ども自身が欲しいと思っていないもの、興味のないものは、手に取らなくて当たり前なんですよね。自分に置き換えたらわかるんだけどね。難しいところ。

でも、親が用意した本や教材に興味を持たないからといって、学ぶ意欲がないわけではないんですよ。

彼は行きたい高校が決まっていたので、部活が終わってからは自分で気持ちを切り替えて一生懸命勉強し、無事に志望校へ合格しました。

だからといって、私は子どもを「学習」というひとつの物差しだけで測るのは違うと思っています。

走ることが好きな子は、体を動かしながら世界を知る。

乗り物が好きな子は、車種や路線や地図を驚くほどよく覚える。

コンピューターが好きな子は、あれこれ試しては失敗し、また工夫する。

料理が好きな子は、誰かに喜んでもらう幸せを知る。

子どもはみんな、自分の「好き」を入り口にして、たくさんのことを学んでいるんです。

だから片づけのときも、

「これは勉強になるから残しておきなさい」と親が決める前に、こう聞いてみてほしいなと思います。

「この本、今も読みたい?」 

「今はどんなことに興味がある?」

 「これは、これからも使いたい?」

せっかく買った本や教材を手放すのは、じつは親のほうがつらいこともあります。

「いつか読むかも」

「もう少し大きくなったら興味を持つかも」「これだけそろえたのに、もったいない」

そんな気持ち、出てきますよね。

でも、たくさん置いておくことよりも、今その子が夢中になっていることを一緒に楽しむ。

図書館で興味のある本を借りてみる。

電車を見に行く、虫を探す、料理をする。

そんな経験のほうが、その子にとって大きな学びになることもありますよ。

そして、好きなものを収納に入る分だけに絞ってみると、本当に大切なものがはっきりして、何度も読み返したくなる一冊に出会えたりするんです。

片づけは、親が子どもを理想の方向へ導くためのものではなくて、

子どもが「私はこれが好き」「これはもういらない」「これから、こんなことをやってみたい」と、自分で考えて決めるための練習です。

親がしてあげられるのは、すべてを先回りして用意することではなく、その子の「好き」に気づき、認め、応援すること。

夏休みの片づけでは、ぜひお子さんの話を聞いてみてくださいね。

親が残してほしいものではなく、その子が大切にしたいものは何なのか。

親が歩ませたい道ではなく、その子の心が今、どこを向いているのか。

きれいな子ども部屋をつくること以上に大切なのは、子どもが

「自分の好きなことを分かってもらえた」

「自分の気持ちを認めてもらえた」

と感じられること。

そんな片づけの時間が、子どもの自信と、自分で人生を選んでいく力につながっていくのだと思います。

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